51年間という長い間、榎戸材木店に努めてくれた社員が、1月末をもって退社しました。
来年で当社も100周年。実にその半分以上を当社のために捧げてくれたことに感謝の念が止まりません。
入社した50年近く前からの25年間くらいは、良いこと、悪いこともあったにせよ、材木屋が材木屋らしく生きていた時代でした。
しかし、当社が扱うスブルースや米ヒバなどの役物、色物の需要が減少し、それにもかかわらずカナダやアメリカの現地価格は自然保護による伐採規制や、中国、台湾など競争相手の出現により原木価格は上がり続けました。
しかも、当初のような色の白い、目の詰んだスブルースの良材は手に入らなくなり、苦労して入荷しても客からは色が赤っぽい、目が粗いと苦情を受ける始末です。当然、赤字でした。
それで20数年前に米材の取り扱いを止め、材木置き場だった場所の有効利用という「不動産賃貸業」に移行。幸い、ラオスヒノキにしても米ヒバにしても腐りにくい樹種なので、腐りやすいスブルースを先に処分し、売れ残った製材品をチマチマと売る日々が続きました。その意味では50年間勤めて下さったうちの半分は、ボンクラ社長の材木屋としての決断力のなさから、利益は出ても社員の能力を生かし切れなかった時代と言えます。
長男も会社に入り、4年ほど前から、これではいけない、「㈱榎戸材木店」は、あくまでも材木屋なのだとスギの内装材の製造販売を始めましたが、低温乾燥で木の良さを失わない良品だとは分かってくれても、なかなか価格的に折り合わず、まだ軌道に乗っているとは言い難い状況です。
でも、本気でスギの良さ、室内に木を張ることの大切さを理解してくれるインテリア・コーディネーターや設計士の方は増えつつあります。
木材業の古き良き時代を担ってくれた社員が退社した今、新社長を中心として新しい時代の、胸を張って良い木材を売れる時代を作りたいと、真剣に考えています。